こんにちは、Yです。
フィールディングは投手の大切な技術の一つです。
守備に安定感がある投手がいることは、内野手(特にサード・ファースト)にとって安心感があります。
マウンドまわりの打球処理を任せることができれば、声かけなどによる連携で対処することができるのです。
守備に安定感が無い投手の場合、多少無理して内野手が対応するケースが増えたり、内野手と投手が処理に向かった際に交錯して怪我を招くトラブルにつながることもあります。
内野手がきわどい打球処理のケースが増えると当然ミスが増え、内野手の自信喪失につながる心配もあります。
投手は5人目の野手として、最低限の守備をできるようにすることが良い投手の条件といっても過言ではありません。
今回は投手のフィールディングに関する記事を書きました。
・投手のフィールディングの重要性がわからないという選手
・投手のフィールディングを学びたいと考えている選手
は是非記事を最後まで読んでみてください。
フィールディングの要は柔軟性
フィールディングで大切なのは、難しい体勢から踏ん張ってスローイングをするための身体の柔軟性です。
踏ん張るのに柔軟性!?
と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、10年以上投手をやっている私の考えでは柔軟性は大切だと考えます。
投手のフィールディングの中で難しい打球処理の代表は、サード側に転がったバントの打球処理が思い浮かぶのではないでしょうか。
サード側へ短距離ダッシュし、ボールを捕球したあと、しっかり踏ん張って、セカンド・ファーストへスローイングすることが必要です。
この際身体に柔軟性がないと、踏ん張ったとしても、下半身が突っ張った状態で手投げになってしまいます。
手投げになると、すっぽ抜けや目標よりも手前でバウンドするなどのまともなスローイングができなくなることが考えられます。
難しい体勢からでもしっかり踏ん張って、下半身を使って投げられるように柔軟性を意識したトレーニングが大切です。
高校時代、サード側の送りバント処理をした際に自分ではしっかり身体を落として逆シングルで捕球したつもりだったのですが、しっかり身体が落ちきらずグラブに納めることができず、バランスを崩してそのままサードファールゾーンに向けてズッコこけてしまったことを覚えています。
もちろんバントは成功で、打者走者にも生きられてしまうという散々な経験をしました。
それまでは身体が固いことはわかっていながら諦めていた部分があったのですが、この経験からしっかり身体を落して捕球できるだけの下半身の柔軟性は必要だと改めて感じました。
投げた瞬間から野手になる
投球後すぐに守備ができる体勢を整えることの重要性は2つの点から説明できます。
・打者からの打球に対する投手の防御
・センター返しに対する二遊間+守備による守備の強化
通常、二遊間の定位置から考えて、多少速度の遅い打球でもセカンドベース付近を転がればセンター前ヒットになるケースが多いです。
「バッティングの基本はセンター返し」というように、打者はセンター返しを狙ってくるわけですから、毎試合センター返しの数はそれなりにあると思います。
このうち、ある程度の打球を投手で処理できるのと、センター前ヒットになるのでは、守備の厚みはかなり変わってきます。
投手が守備要員として機能し、センター前ヒットが投手ゴロで処理できると、チームの守備事情は大きく好転するはずです。
投げ終わりで無防備な体勢のところに、センター返しで鉄の塊が猛スピードで向かってくることを想像してください。
自身の身体守るという意味でも、投球後の守備体勢は必須です。
投球後のフォロースルー時の体勢は重心が前にきており、利き腕がグラブの邪魔になることが多いと思います。
この体勢をできるだけ早く打者にむきなおしていると、ピッチャー返しがきても、グラブに当てることで自身の身体を守ることができます。
グラブにあてることで、センター返しで抜ける打球が、打球速度や方向が変わって内野手により打球処理できる可能性出てきます。
投球に意識を集中して投球後の守備の意識が抜けていると自覚している方は、是非意識的に守備体勢を作ってみてください。
気を抜くとワンテンポ遅れてしまったりしますので注意が必要です。
それだけでも1つのヒットがアウトになる可能性が大きくあがります。
当たり前のバント処理
バント処理はできて当たり前と思われがちですが、その当たり前が覆されることがあります。
“焦り”という感情がプレーに影響を与えた時です。
送りバントの処理の場合、打者は自分は犠牲になって進塁させたいという意図が大きいため、通常の処理で大きな問題はありません。
問題は、送りバントでセカンド送球を狙う時です。
走者・打者ともに全力で走っていますので、捕球の際にボールを持替えるとアウトにできない可能性が一気に高くなります。
ここで問題になってくるのが先ほど述べた”焦り”です。
セカンド送球を狙う際は、一瞬でもためらうとセーフになってしまいますので、下記に示す動作について、捕球から送球までノータイムでいけた時はチャレンジする意味があります。
- 捕球時、ランナーのスタートの状況を確認し、同時にカバーする野手がむかっていることも確認(この時点である程度判断)
- 捕球時、一直線に打球へ向かい、まわりこむようなタイムロスをしていない
- 捕球時、しっかり腰を落とし、確実に捕球
- 捕球時、捕手や野手からの声掛けを冷静に聞く(この時点で最終判断)
- 送球時、①から④で問題なく捕球できた上で、ためらうことなく狙う塁上へ体勢を向ける
- 送球時、慌てることなくグラブから利き手に持ち替える
- 送球時、手投げるになることなく、下半身を使って投げる
特にチャレンジの判断は安易に判断せず、あくまで1アウトを確実に取りに行くことを前提に準備することが大切です。
3年生の夏の大会、0-0で拮抗した試合展開の中、先発の私がフォアボールでランナーを出した後、送りバントをピッチャー前に転がされた時の出来事でした。
捕球してセカンドへチャレンジしたボールがカバーに入ったショートの頭を越えてセンターまで転がっていった苦い記憶は今でも覚えています。
ショートの選手の呆然とした顔が今でも忘れられません。
「焦って投げなければ。」「1つ確実にアウトにしていれば。」
あの1プレーで展開は大きく変わっていたと今でも考えてしまうのです。
「挑戦することが大切」「失敗を恐れるな」とまわりは言いますが、経験した者から言わせると、いろんな状況を踏まえると、このプレーに関しては気休めにしか聞こえません。
1つのアウトを確実にとることで2つ目のアウトはその先にあるものと意識してください。
その意識でその後の展開は大きく変わります。
ピッチャー返しに反応できるか
投手のフィールディングにおいて特に”瞬発力”が必要です。
その理由はピッチャー返しへの対応があげられます。
ジャストミートしたピッチャー返しはものすごいスピードで飛んできますので、一度経験するとかなり恐怖を覚えます。
硬式球という鉄の塊から自身の身体を守るためには、その鉄の塊を上手く処理する瞬発力が必要なのです。
個人的には、5人目の野手として守備に貢献するという面よりも、自身の守るという面から投手には瞬発力が必要であると言いたいです。
投手としてマウンドに立つ時は投げることに集中しがちで、打球への反応が遅れることがありますが、鉄の塊が自身にむかって飛んでくることを忘れてはいけません。
グラブやスパイクに当てることで自身への接触を交わせれば問題ありませんが、特に頭や顔など後に残る怪我を負うことを避けることが必要です。
打球へ旨く対応するには、まず打球に反応できなければいけません。
試しにプレート付近に立ってノックを受けてみてください。
その際、少しずつ打球速度を上げてもらいピッチャー返しのイメージを体験してみてください。
ノックだとある程度打球速度を制限して打ったりしますが、試合でのピッチャー返しの打球速度はコントロールできません。
ものすごいスピードで飛んでくることもありますので、まともに受けるとデットボールどころの話ではありません。
打者はヘルメットをかぶり打席に立ちますが、投手にはヘルメットなどの防護がありません。
頭に当たると命の危険さえある大変危険なポジションであることは間違いありません。
最低でも打球がこちらに向かってくるかどうかを確認できるように訓練はする必要があります。
打球への反応ができないと大きな怪我につながることを十分理解し、自身の命を守るという意味でのフィールディング練習を意識してください。
ワンバウンドスローを学ぶ
フィールディングで一番意識したいことは確実に1つアウトをとることです。
1つ1つのプレーはアウトを取るための布石であると考えることが大切です。
バント処理などで難しい体勢から投げる時、無理して力強くノーバウンドで送球しようとすると、大暴投をしてしまうリスクがあるのではないでしょうか。
意識的に強いボールを投げようとすると、上半身に力が入ってしまい、暴投になってしまうことがあります。
これはかなり経験してきました。
対策は、難しい体勢からの処理の場合は、無理せずにワンバウンドスローも選択肢に入れてを考えることです。
ワンバウンドスローを投げるにも、ある程度練習が必要だと思いますが、慣れれば送球の確実性が上がります。
普段のキャッチボールからワンバウンドスローを意識して投げる機会を作るようにしてください。
野手とのワンバウンドスローでの連携を確認することも大切です。
高校時代、アップ時に塁間のキャッチボールでワンバウンドスローの練習を取り入れていましたが、塁間でやってみるとワンバウンドさせる位置やバウンドしたあとの軌道など、受け手が捕りやすいように投げるのは難しかった記憶があります。
バウンド位置が受け手に近すぎるとハーフバウンドのような対応になり、遠すぎるとバウンド回数が増えて”打球のゴロ”のようになり捕球が難しくなります。
またしっかりはねるようなボールを投げないと受け手は捕球が難しくなります。
普段から投げることで、実践でもしっかりしたワンバウンドスローを投げることができるようになります。
大切なのは1つのアウトを確実にとることです。
バント処理で難しい体勢からでも手投げでも投げられるワンバウンドあるいはツーバウンドスローという選択肢があれば、1つのアウトをとる可能性がより高くなります。
カバーリングできる投手こそ名投手
ランナーがいる状態で痛打され落ち込む気持ちはわかりますが、まず必要なことはカバーリングです。
気持ちを切り替えて、すぐにカバーリングへ走ってください。
痛打されると投手はショックで打たれたことばかり考えてしまい、次に必要な動きをイメージすることを忘れてしまいます。
これ本当によく忘れます
ランナーが2塁で外野へヒットを打たれた場合、次の動きとしては、バックホームの後ろでホームへの送球があった場合のカバーリングが必要ですが、失点の悔しさなどが先行し、カバーリングに走ることを忘れることがよくあります。
ランナーなしでファーストゴロのファーストカバー忘れずできますが、バックホームへのカバーは経験上本当に忘れます。
点に絡む被打をされると、気持ちが揺らいでしまい、バックホームへのカバーリングが遅れてしまうがことがあります。
ベンチからの声などで気づいて走ることもありますが、その積み重ねがまわりの不満を募らせる原因になります。
打たれた時に冷静でいられない投手が多くいる中、できる投手とは常に冷静に状況判断ができて、カバーリングに余念がない投手です。
どんなにくやしくても、どんなにむしゃくしゃしても、打たれた瞬間に切り替えてカバーリングに走らないといけません。
まとめ
フィールディングの要は柔軟性
低い体勢で捕球し、踏ん張った状態から投げるためには、柔らかく体を動かすための柔軟性が大切。
投げた瞬間から野手になる
投手は5人目の野手であることを忘れず、投球後守備できるように体勢を立て直すことが大切。
当たり前のバント処理
色気を出して2つを狙うのではなく、確実に1つアウトを捕ることを優先し確実なプレーをすることが大切。2つのアウトは確実な1つのアウトの先にあるものと考えることが大切。
ピッチャー返しに反応できるか
ピッチャー返しへ対応できないと、自身の怪我につながります。自身の身体を守る意味でもピッチャー返しへの対応を高めることは大切。
ワンバウンド送球を学ぶ
「捕ったボールただ投げる」ではなく、「アウトを取るために投げる」を意識すること。アウトを取るために必要なプレーを考えてワンバウンドスローにより精度を高めることが大切。
カバーリングできる投手こそ名投手
打たれた時に冷静でいられない投手が多くいるなか、打たれた瞬間に切り替えてカバーリングに走れることが大切。
球速や変化球、投球術など学ぶことがたくさんあり、フィールディングは優先順位が後ろになりがちです。
内野手経験者であれば、自身の経験でどうにでもなると考える選手もいるでしょう。
しかし、緊迫した局面でミスを犯して、その後の自分の投球が崩れてしまう悪夢を考えると、自分で処理できるもので確実にアウトをとるために、フィールディングの精度を上げることは大切です。
あなたが投手としてより高いレベルになりたいのであればフィールディングの精度を上げるため、まずは普段の柔軟体操から下半身の柔軟性を意識し、ワンバウンドスローを練習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
あなたの投手への挑戦を応援しています。
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