こんにちは、Yです。
スポーツをやっている全ての方は、常に怪我とも戦います。
野球では特にボールを投げる肩や肘の怪我は選手生命に関わりますので、気を付けたいところです。
「今は大丈夫だから多少無理しても問題ない」
と考えている十代の野球選手に言いたいことがあります。
「肩や肘の怪我はいきなり大きな傷みがでるばかりではありません。徐々に痛みがでることもあるのです。そのため、はじめは違和感程度からどんどん症状が悪くなっていくこともあります。あなたが感じた違和感は選手生命に関わる怪我への序章である可能性があるということです。」
しかし、こういったことは肩や肘の怪我する人や、ボールが投げれなくなって野球をやめる人がまわりにいないとなかなか実感することができないことも確かです。
この記事では野球選手の肩・肘に関する怪我との向き合い方について私の考えをまとめています。
普段怪我とは無縁であまり気にしないような方、あえてあまり気にしないようにしている方でも、是非一度この記事から怪我について考える機会にして頂けると嬉しいです。
肩や肘は絶対に壊れるもの
投手と野手では肩や肘にかかる負担が全く違います。
投球数が多い投手の負担は大きく、その負担が蓄積すると疲労により、肩や肘の怪我の原因になってしまうことも考えられます。
野手の守備機会は1試合に数回ですが、投手は1試合に100球以上投げることもありますので、肩や肘にかかる負担は野手にくらべて桁違いです。
さらに、野手は捕球後下半身の力を十分活かしてスローイングできますが、投手は静止した状態から投球動作を行い、上半身・下半身を使って投げるため、肩や肘にかかる負担も野手にくらべて大きくなります。
そのため投手の登板前には野手とは別メニューでアップしたり、登板後はアイシングをしたりと身体へのケアが重要です。
プロ野球選手でさえも肩や肘の故障で離脱するニュースをよく見かけることからも、誰にでも起こりうることであるのは間違いありません。そしてそれがいつ起こるのかを知ることはできません。
だからこそ、肩や肘は最終的には壊れるものであると理解し、「少しでも壊れる時期を後ろ倒しにする努力をする」というマインドで意識的に肩や肘へのケアに取り組むことが大切です。
身体のケアができないのはダメ投手
投手を目指すのであればまず学ぶべきことは、「肩や肘は消耗品である」という認識です。
つまり壊れると使えなくなるということです。
これを意識できない投手は自分の商売道具の価値を理解できていないダメ投手です。
身体の調子は、あなたしかわからないことが多く、指導者もあなたの身体の調子を気にかけてくれません。
しかし、身体へのケアは選手生命に直結しますので欠かすことはできません。
特に投手は野手にくらべて肩・肘の負担がかなり大きいので、重点的にケアが必要です。
☞肩や肘への怪我防止のために留意すること
- ウォーミングアップ・柔軟体操・・・しっかり時間をかけてほぐす。効果がある部位を意識する。不要なおしゃべりはしない。
- キャッチボール・ダウン・・・はじめはゆっくり時間をかける。フォームをしっかり固める意識をする。下半身を使ってなげる意識
- アイシング・休息・・・アイシングはサボらない。痛みがある場合は勇気を持って休息する。休む場合はチームで共有する。
①ウォーミングアップ・柔軟体操
試合前のウォーミングアップ・柔軟体操では、しっかり身体を温め、ほぐすことで身体を柔らかくし、投球による負担を身体全体で軽減することができるのではないでしょうか。
ウォーミングアップや柔軟体操は練習の序盤にリラックスした雰囲気の中で取り組むことが多いですが、決していい加減にすることなく、効いている部位を意識したり、身体への影響を考えながら取り組むことが大切です。
チームメイトと談笑したりコミュニケーションをとりながら取り組むとリラックスして良い面もありますが、効果を意識することができずにいい加減になってしまうと意味がありません。
この時間は効果のある部位しっかりを意識しながら黙々と取り組んでみることをおすすめします。
②キャッチボール・ダウン
キャッチボールはその日の調子を左右する大切な準備です。そしてダウンは投球により火照った身体を冷ます大切な役割です。どちらもいい加減に取り組むことは、その後の成績に影響します。
キャッチボールは、フォームを意識し、ゆっくり時間をかけて取り組むことで肩や肘に無理させずに投球できる肩を作っていくことが大切です。しかしここで注意したいのが、投げすぎはいけません。投げすぎたところで何も良いことがありませんので、適量を心掛けて取り組みましょう。
ダウンは投球で使った肩や肘をゆったり回しながら投げることを意識し、「緊張の糸を解くイメージ」で徐々に投球距離を短くして肩や肘の筋肉の張り解いていくことを意識します。急激に距離を縮めていくようないい加減なことはせずにじっくり取り組んでみてください。
キャッチボールはルーティーンで仕上がりに必要な球数はのおおよそは決めてしまうこともできますので、自分が最も調子が良かった時のキャッチボールのペースを記録し、ルーティーン化するのがよいと考えます。逆にダウンはその日の投球数などにもよりますので、ルーティーン化するよりもじっくり時間をかけてそのときの感覚を大事に取り組むことのほうが大切だと考えます。
自分にあったキャッチボール・ダウンのやり方を見つけることが大切になります。そのためには試合内容とキャッチボールやダウンについて記録を残すことでより次回の実践に効果的な準備ができるのではないでしょうか。
③アイシング・休息
降板後は、しっかりダウンを行い、アイシングでしっかり肩を休ませることは大切にしてほしいことです。
ある程度投球した試合後は必ずアイシングをすることを心掛け、肩や肘への身体的なケアを行うのと同時に、負担をかけた部分へのケアをしっかりするという「マインド」を育てることが大切だと考えます。
私が高校生の頃に、試合後のアイシングをサボった様子をみた監督が烈火のごとく怒り雷を落としたことがありました。当時の私は「アイシングくらいで・・・」とふてくされていましたが、今思うと投手にとってすごくすごく基本的なことを理解していなかったと反省しています。
アイシングは肩の負担の軽減には大切ですので、是非意識しながら取り組んでください。
投手の準備や投球後のケアはほかの野手にくらべると考えることもやることもたくさんあります。これらをいい加減にせずに時間をかけてじっくり取り組むことができる選手こそ投手になるべきだと思っています。
逆にこの理解ができない投手はダメ投手だと私は声を「大」にして言いたいのです。
「自分は大丈夫」はまずあり得ない
肩や肘に異常がない選手は「自分は怪我とは関係無い」と思ってしまいがちです。
しかし、そんなことは絶対にありません。
肩や肘に異常がない時から習慣的に怪我を意識した練習をすることが大切なのです。
特に技術的な練習ではないウォーミングアップやダウンなどへの意識が希薄になりがちです。
「自分は大丈夫」と謎の「自分は特別理論」を展開し、いい加減なケアをしてしまった経験はありませんか?
そういったいい加減な考えは、すぐではなくてもいずれ身体の調子へ跳ね返ってきます。
■私が経験した痛みの進行の程度
- ハリがとれにくい
- キャッチボールの序盤は少し痛みがある
- 身体が温まるまではボールを強く投げると痛みがある
- 慢性的にボールを投げると痛みがある
- 痛みでボールを全力で投げることができない
このようなことがないように、自分にできる最大限の怪我を防止する努力を心掛けましょう。
<コラム>
立ち上がりが調子が上がらず、尻上がりに調子を上げる投手がいます。彼らがよく指導される方法に、「投球練習を多めに投げてからマウンドにあがるように」という方法がありますが、個人的な見解としては、投球練習場で多めに投げたところで登板し立ち上がりから調子が上がることはあまりありませんでした。そのためこの指導方法は、個人的はおすすめしません。それよりも、尻上がりに調子が上がってくることを見越してピッチングの戦略を立てることのほうが大切だと考えます。
というのも投球練習で球数を投げてしまうと登板と合わせて全体的に投球数が多くなり、肩・肘への負担が増えることが懸念されますので、そのリスクと自分の登板時の調子を天秤にかけると、肩・肘の負担の軽減を意識する方が重要だと考えています。
無理をすれば絶対に壊れる
投手にとって一番意識しないといけないのは肩や肘への影響です。
あなたが大きな目標があって野球を頑張っているのであれば、その目標の道半ばでは絶対に無理をせずに引き下がる勇気を持ってください。
もちろんこの決断をするには想像以上に強い決断力が必要となるでしょう。
しかし、この撤退の決断ができるのが投手として長く登板するための絶対条件だと言えるのではないでしょうか。
投球術などの技術に関することや体力・スタミナなどは試合や練習などをもとに指導者によってある程度コントールが可能ですが、怪我に関することは本人の意識以外では管理することが難しいです。
指導者も目標の道半ばでの無理は全く望んでいません。
あなたが「肘が痛い」と言わなければ、あなた以外の誰もがあなたが肘が痛いことをわかりません。
優勢な試合ではまわりはあなたを賞賛します。あなた自身も調子が良いと感じる試合もあるでしょう。逆に負けている試合では、あなたは熱くなって次々に投げたい気持ちになることもあります。公式戦は貴重な経験を得ることができる大切な時間です。
そのような時に身体の違和感に直面し、撤退する決断があなたにできますか?
自分の決断を先延ばしにしていると、確実にあなたの肩・肘は早く寿命を迎えることでしょう。
- 違和感を知らないふりをしない。
- 違和感を感じた時は迷わず休養する。
このことは意識していても実行することはかなり難しいことです。
しかし、あなたが長く投手として登板したいのであれば、自分の身体のことを一番に気にかけ、どんな試合展開でも、撤退できる強い意志をもつことを大切にしてください。
まとめ
- 肩や肘は絶対に壊れるもの
投手は野手と比べものにならないくらい投球するため、肩や肘への負担は大きくなります。肩や肘は消耗品です。いつ壊れるかわからないがいつかは壊れることが確定しているため、そのXデーをなるべく遅らせる努力が必要です。 - 自分の肩や肘への理解ができないのはダメ投手
あなたの商売道具である肩や肘については、あなた以外誰も気遣ってくれません。あなたが一番の理解者になる必要があるのです。
登板前後の準備とケアについては常に余念無く取り組むことが大切です。 - 「自分は大丈夫」はあり得ない
「自分は大丈夫」は「自分はまだ大丈夫」なだけで、いつかは絶対に大丈夫ではない時が来ます。まだ大丈夫な時から習慣的に怪我を意識した練習をすることが大切です。 - 無理をすれば確実に壊れます
無理する前に休養を選択できる決断力が投手にとっては大切です。まわりだけでなく自分でさえも休養したくないシチュエーションでの休養を決断しなければならない機会にその決断ができる投手こそが長期にわたって活躍できる投手です。
肩や肘は消耗品で、使えば使うだけ壊れやすくなります。
そのため、特に投手を目指す方は、投手の技術を学ぶことと同じレベルで怪我やケアについて学ぶことが心掛けてください。
私は個別のケアの方法よりも、「ケアを大切にする」というマインド自体が一番大切だと考えています。そのマインドを習慣化させることで、自分から興味を持ってケアについて学ぶことができるようになります。
大げさかもしれませんが、あなたはいつ壊れてもおかしくない爆弾と一緒に野球をしていると考えてください。
そのくらいの気持ちで肩や肘へのケアについては緊張感をもって接するとともに、常にアップデートする意識してください。
あなたの投手への挑戦を応援しています。
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